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毛糸を知って楽しく編み物をしましょう-2

「毛糸らしい」毛糸と「毛糸っぽくない」毛糸について

素材は同じウール100%、番手(太さ)も同じぐらいなのに、フワフワとした質感の「毛糸らしい」毛糸と、ツルっとした感触の「毛糸っぽくない」毛糸があります。質感の違いを生むのは、原料の繊維の長さとそれに適した紡績法(糸の紡ぎ方)の違いにあります。「毛糸らしい」毛糸ができるのは、短い繊維を紡ぐのに適している「紡毛(ぼうもう)紡績」(紡毛糸)で、これに対して「毛糸っぽくない」毛糸は、長い繊維を紡ぐのに適した「梳毛(そもう)紡績」(梳毛糸)で作られた毛糸です。

羊毛を綿状にして紡ぐ紡毛糸(紡毛紡績)の特徴としては、短い繊維同士を絡み合わせて綿状にし、それを細く引き伸ばしながら撚りをかけて糸にします。繊維の間には空気もたっぷり含まれているので、フワっとエアリーな毛糸らしい毛糸になります。また、生地を縮絨させると驚くほど素晴らしい感触になる「化ける糸」ともいわれています。これは繊維が複雑に絡み合った紡毛糸ならではの魅力です。紡毛糸は、手編み・手織りに幅広く使われます。さらに二次加工として織り地・編み地の表面を掻いて起毛させるのにも適しています。〝羊の島〟フェア島で伝えられてきた「フェアアイルニット」には、編み地に「切りしろ」を作ってハサミを入れる「スティーク」という技法があります。これも、紡毛糸ならではの繊維の絡みを生かしたテクニックです。

羊毛を梳きそろえて紡ぐ梳毛糸(梳毛紡績)の特徴としては、長い繊維を繰り返し梳くことで一方向にそろえて紡ぎます。糸を梳く工程で、混ざり込んでいる短繊維もきれいに取り除かれるため、毛羽立ちが少なく、クールな印象の毛糸ができます。羊毛をきれいに梳きそろえて糸にした梳毛糸は、期待どおりの仕上がりをかなえてくれる糸といえます。言うなれば「優等生な糸」です。梳毛糸は冬用アイテムだけでなく、アパレル業界では「サマーウール」として夏用スーツの生地にも用いられています。表面が整ったツルンとした質感を生かして、薄手のセーターやレーシーなストールなどにもおススメです。

単糸・双糸・三子糸の違いについて

紡績した糸(原糸)を撚り合わせることを「撚糸」といいます。撚り合わせをしない、1本だけの糸は単糸といい、2本の糸を撚り合わせたものは双糸、3本撚りは三子糸(みこいと)といいます。それ以上の本数を撚り合わせた四子(よっこ)、五子(ごこ)などあり、さらに双糸や三子糸を撚り合わせるなどして、多様な毛糸が作られています。この撚り合わせの本数によって糸の強度はもちろん、風合いも変わってきます。毛糸の強度や重さは、単糸より双糸、双糸より三子…と、数に比例して増していきます。素材感が最も際立つのは単糸です。軽さの面でもいちばんです。ただし単糸をニットに使う場合、編み地が斜めにゆがむ「斜行」が表れる場合があります。斜行が出るか出ないかは、糸を見るだけでは判断しづらいので、選ぶ前にお店の人に尋ねてみるなどが必要です。双糸は素材感を生かしつつ、斜行も解消されるよう調整されている場合が多いので、ニット・織りを問わず幅広く使われています。三子糸は単糸に比べて重くなるものの、編み地・織り地のツラがきれいに整います。強度を要するものにも適しています。用途に合わせて選ぶようにしましょう。

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