実用的な編み物のアイテム

編み物は本来雪国で寒さをしのぐために考案された技法です。故に説明するまでもなく日本では秋冬ものの衣服を得意とし、実用品としても優れているので贈り物としても喜ばれます。

また手編みは機械編みとは異なり製法上の理由で繊維を潰すことなく編みあがります。繊維の中には空気の通る穴があり、機械編みではその穴を潰してしまうために繊維の中に溜め込める空気の量が7割程度に下がってしまいます。

しかし手編みではその空気の通る穴を潰すことがないために本来溜め込める空気の量を減らすことなく溜めこめます。その空気が温もりを保ってくれるのです。

なので冬用のセーターに用いる毛糸は空気の通る穴を潰さない様に撚りが甘く、ふんわりとしており、春夏用の涼しい糸は撚りがやや強めにかかっているのです。

よく手編みは機械編みよりも暖かいと言われるのは編み手の気持ちがこもっているだけでなく、製法上の理由がきちんとあるからです。

ここではそういった特徴を生かせた実用品として優れている編み物のアイテムを説明します。

マフラー

棒針で最も多く編まれているアイテムです。模様編みを入れると裏表ができてしまい、2枚編んで剥ぎ合わせなければならなくなるので裏表のないゴム編みが適しています。ガーター編みでも編まれますがゴム編みは横に伸びるのに対し、ガーター編みは縦に伸びるので肩から垂らした部分がガーター編みではあっという間に伸びてしまうので適しているとは言えません。

女性用の場合は太めのかぎ針でモチーフを編みつないで作ると柔らかな印象で上品に仕上がります。

セーター

日本での手編みのセーターは嬉しいことに非常に大切に着用されますが、本場のスコットランドでは寒さを凌ぐ目的で着用されるものですので漁師さんが漁に出て行くときの作業着として昔から使用されています。

その為に男性が着用する方が多く、デザインも温もりが必要とされるので透かし編みはほとんどなく編み込み模様や模様編みといったカジュアルなものになっています。編み込み模様では色味も生成りや茶色が多く使われます。

布地で作られる洋服は女性用と男性用とでは型紙から異なりますが、編み物でのセーターに関しては寸法が異なるだけで男女の区別がありません。それは男性用は女性でも着用できるので型紙を描き換える必要がないからです。

セーターも衣服ですので女性のおしゃれのためのものと思われがちですが、本来は労働者の男性のためのものですので、似合う似合わないがほとんどない誰にでも着ることのできるアイテムとして、アパレル業界でも衣服の中では特殊とされます。

女性から男性への贈り物として非常に喜ばれるアイテムです。

カーディガン

セーターに準じますが、セーターが男性のためのものであるのに対してカーディガンは女性のために考案されたものです。そこから透かし模様が考案され、現在に至っています。

男性も着用して良いものですが、本式は袖のないベストです。

手袋

防寒用の実用品です。家の中では使用しないので5本指ではなくミトンの形が源流です。生活が複雑になるの従って指先を使用する頻度が高まり、5本指が考案されました。

最も実用的な編み物での手袋は軍手にあたります。

女性が着用する様になって防寒用からお洒落着のアイテムとなり、レースの手袋が生まれました。

現在では真夏の日差しが特に強いのでサマーヤーンを使って腕から手の日除けに使うこともできます。

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